創り出す思考 | システム思考 | 田村洋一

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創り出す思考

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創り出す思考

 

 

◇システム思考と構造思考

 

システム思考は非常に優れた分析ツールで様々なことを分析するのに役立つが、組織をデザインしたり新しいものを創ることは向いてない。
それに対して、構造思考は新しいものを創り出すことが可能。なぜなら、構造思考は今存在しないものを創り出す思考であり、問題解決、状況対応型の思考ではない。

 

 

◇ロバート・フリッツ インタビュー動画視聴

 

 

◇状況対応思考と創り出す思考の違い

 

状況対応思考の問い「何をなくしたいか」「何が問題なのか」→視野を狭くしてしまう
創り出す思考の問い「何を創り出したいのか」→現実を広い視野でみていく

 

 

ジャーナリング
・自分はどんなときに問題解決や状況対応思考になりがちか。
・自分はどんなときに創り出す思考をやっているか。

 

 

◇簡単ではないが2〜3週間でできそうなアイデアを4つ考える

 

シェア

 

・コーチングでよくあるSMARTモデルとは違う?
S→Specific 「具体的な」
M→Measurable 「測定できる」
A→Attainable 「到達できる」
R→Relevant 「関連している」
T→Time Phase 「期限のある」

 

・目標は大きければ大きいほどいい?

 

◇4つのアイデアから一つ選び、創り出したい結果を描く

 

◇演習
・緊張構造を創る
クライアント、コンサルタント役に分かれて成果を得るためのアクションを見出す。
アクションの期限を決める。

 

STARクラブでは今月からロバート・フリッツの構造思考をテーマに取り上げることにしました。去年の春頃にやっていたのですが、今年はいよいよロバートが初来日するということや、9月には満を持してロバートの共著書「アイデンティティ」が翻訳出版されるということもあり、またスタートすることにしたのです。

 

ところが始めてみると、これは去年やったというものの、もうすでに新鮮な感じになっている気がしています。

 

ロバートの構造思考、日本語では一般向けに「創り出す思考」と呼ぶことにしましたが、専門的な呼び方は structural thinkingとcreative processで、これは「新しい考え方」だとロバートが言うのを聞いて新鮮に感じました。

 

まず私自身にとってこれは25年以上馴れ親しみ、実践してきた思考です。仕事にしてもキャリアにしても人生にしても人間関係にしても、およそ生きていく中で中心にあった考え方です。それが「新しい考え方」というのがそもそも新鮮でした。

 

ところが広く世間を見渡してみれば、全くロバートの言う通りで、世界は状況思考(situational thinking)や問題解決(problem solving)に満ちていて、創り出す思考は極めて稀なのです。

 

これは今月のSTARクラブの中でアドバイザーのユージローさんと喋っていて気がついたことですが、構造思考:創り出す思考は、それが不自然に見えるような状況においてこそ切実に求められるものでもあります。

 

少し例を挙げましょう。

 

何か新しいプロジェクトに着手するとします。新しいビジネス、新しいサービス、新しいプロダクト、新しい何かを構想するところからスタートします。当然ながら最初は「何を創り出したいのか」と問うことになります。最初に最後のことを考えるのです。それによって構想が明らかになり、チームとして船出することが可能になります。

 

ところが実際にプロジェクトが始まると途端にチームはさまざまな問題に見舞われ、難しい状況に放り込まれます。そのときに自然な思考は「一体どうしたらいいのか」であり、自然な行動は「この問題を解決しよう」というものです。

 

ここが罠であり、注意を要するポイントです。

 

そういう局面においてこそ「自分たちは何を創り出したいのか」と自問自答し、「行きたいところ」と「今いるところ」の双方を見て構造思考することが必須なのです。

 

問題状況に放り込まれた人間は「どうしたらいいのか」「なんとか解決しよう」と動くのが自然です。もちろんそれでいいこともたくさんあります。困っている人がいたら何も考えずにすぐに助けたらいいのです。火事が起こったら何も考えずに消火したらいいのです。問題解決が悪いわけでも、状況対応が悪いわけでもありません。

 

悪いのは、「何も考えずに状況対応し、問題解決する」というのがデフォルトのモードになり、「何も考えない」ということが習慣化されてしまうことです。

 

問題を追いかけてばかりいる人は知的怠慢に陥っています。会社組織のマネジャーの多くがこの罠に陥っています。自分は重要な問題を解決しているのだから重要な仕事をしていると錯覚しているのです。

 

2006年に組織開発をテーマにした本を出版しましたが、その本の帯に「問題解決してはいけない」と書きました。その心は、組織開発しようとしているときに問題解決にかまけていたら日が暮れてしまい、何も創り出すことなく右往左往してしまうからです。行きたいところがわからないまま右往左往すれば組織の時間と資源を消耗するだけです。

 

状況思考・問題解決は嫌な問題を消すことです。一方で構造思考・創り出す思考は新しいものを生み出すことです。180度違います。問題解決から新しいものが生み出される保証はありません。古い何かを消そうとしているだけです。しかも構造が変わらなければ一時的に問題を解決したところで問題は形を変えてまた姿を現わすだけです。

 

7月のSTARクラブでは、ロバート・フリッツの基本的な考え方を紹介し、実際に自分の創り出したいことを思い描き、それが実現する構造を創り出してみました。

 

実現できることが重要なポイントです。

 

実現できない夢を描いてもそれはただの絵に描いた餅です。あまり意味がありません。構造思考は引き寄せのマジックではありません。ゴールを設定したらリアリティを観察し、必要なアクションを書き出して実際に行動に移す必要があります。

 

ロバートはストレッチゴールをstupidだと言って退けます。実現可能性の低い巨大な目標を設定して頭のネジを外し、コンフォートゾーンを越えようという操作主義的手法を完全否定します。そういうやり方で創り出すことはできないのです。まずは短期間に実現できることを選び、毎日のように「創り出す」実践練習をするのです。それができたら少し大きな目標を設定し、スキルや自信を築いていきます。

 

ここでの自信は心理的な錯覚ではなく、現実に「できる」という感覚です。例えば車の運転を覚えたての人は公道に出て確実に安全運転できる自信がないかもしれません。経験とスキルが足りないのです。しかししばらく運転していれば確実に安全運転できるようになります。目をつぶっても運転できるようになります。それが現実に根ざした自身の感覚です。できないことができるようになるのです。すると、もっと難しいことや複雑なことや面白いことにチャレンジすることも可能になります。

 

いきなりBHAGなストレッチ目標をセットすることによって確実なスキル構築や自信構築の機会を台無しにしてしまう愚は避けたほうがいいと私も思います。

 

大きな夢を見るのは悪くないことです。しかし夢は見るばかりでなく、実現してこそ愉快なものです。小さく始め、力と知恵を蓄え、もっと大きな事業に取り組むことができるようになる。ロバートの方法はそういう現実的なアプローチです。

 

これから3ヶ月の間にいろいろな夢を実現することができます。これは魔法ではありません。現実的な方法です。

 

田村 洋一

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