独りよがりな思考を戒める | ディベート | システム思考

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独りよがりな思考を戒める

 

 ディベートを学ぶことの効果は数えきれないほどありますが、

 

 「独りよがりな思考を戒める」

 

 は、その筆頭に挙げられるでしょう。

 

 独りよがりな思考に陥ってしまう人は吃驚するほど多いのです。知性の高い人が、その知性にもかかわらず、自分の考えにしがみついて他者の意見を受け入れられないことが頻繁にあります。

 

 いや、自分の考えにしがみついて他者の意見を受け入れられないのは、高い知性のゆえかもしれません。自分は相手よりもずっと深くずっと長く考えてきたという自負や自信があるため、相手に謙虚に耳を傾けることをやめてしまうのです。

 

 こうした独りよがりな思考は致命的です。

 

 自分自身では理路整然と考え、明快な論理によって正しい結論を導いていると思い込んでいます。その思い込みのために、他者の批判を受け入れることができなくなってしまいます。

 

 ディベートの実践では、どんな議論でも常に第三者による判定にさらされます。どれほど自分が考え抜き、論理的に正しいと確信している議論であっても、第三者の評価と理解を得ないことには議論として成立しないのです。

 

 もちろん判定者が判定を間違うことはあります。そのプロセスも含めてディベートなのです。完全無欠でない、ごく普通の理性と判断力を持った第三者が、通常の善意と誠意をもって耳を傾けてくれたときに、どれだけ議論を明確に共有して、どれだけ理解と評価を得られるかが勝負です。

 

 そのプロセスを経ずに「自分は相手よりもわかっている」という態度をとった瞬間から独りよがりな思考が始まります。第三者の判定を軽んじた途端にエリート主義に陥り、独善が始まるのです。

 

 ディベートは秩序立った構造を用いて独りよがりな思考に歯止めをかけます。特別な考え方に頼ることなく、地道で着実な調査と思考と議論によって真実に近づき、意思決定を行うのです。

 

 ディベートは、特別な知性のための特別な方法ではなく、普通の知性の持ち主が普通の知性を持った他人と意思決定のプロセスに参加するための合理的な方法です。

 

 独りよがりの思考を排して議論と対話ができたら、世界はどんなふうに変わるでしょうか。

 

 想像してみてください。

 

 

サンタフェ通信8月23日号より一部抜粋しています。


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