省力化のために犠牲になるもの | 田村洋一 | サンタフェ通信

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省力化のために犠牲になるもの

 

昨日食べた銀座鹿乃子のかき氷が美味しくなかった件について、今朝また考えていました。

 

かき氷は美味しくないだけじゃなく、そもそも出てきたときの様子からしておかしかった。てっぺんがへこんでいて、今から思えば氷をかいてしばらく放置したものに上からシロップをかけていた様子。

 

つまりおそらく省力化のために氷をあらかじめいくつかかいておいて、注文があったらシロップをかけてすぐに出すというプロセスかと思われます。かき氷を注文してすぐに出てきた感じがする。客としては待ち時間が短いのは悪くないのかもしれませんが、あれは作り置きで、出てきたときには氷がとけてしまっているわけです。

 

しかも氷がふわふわではなくじゃりじゃりしている。

 

なぜ氷がじゃりじゃりしているのかというと、これも、おそらく省力化のために手間を省いた結果ではないかと邪推します。氷がふわふわになるためには、かく前の氷が零度に近い温度になっている必要があります。冷凍庫から出したばかりの氷は温度が低いので、かいたときにどうしてもじゃりじゃりになってしまうのです。そこでふわふわのかき氷を作るためには、しばらく氷を常温に置いて温度を下げる必要があるのです。

 

銀座鹿乃子では省力化のために多くのことを犠牲にしてしまっているようです。

 

接客サービスの劣化もそのひとつです。お客をもてなす雰囲気が皆無でした。ひどい悪声で「そちらの長椅子に座ってお待ちください」と怒鳴る男性ウェイター。私が店長なら彼のような店員を絶対にホールに立たせることはしません(そもそも店員採用するかどうかも疑問)。

 

銀座鹿乃子はロケーションも素晴らしく、通りがかりの客はこれからも入るでしょう。また、サービスや料理のクオリティに無頓着な客ならこれからも入るでしょう。

 

一方で、かつてのような優れたサービスに価値を認めていた私たちの足は遠のきます。もう当分の間このお店に足を運ぶことはありません。

 

省力化のために銀座鹿乃子というお店が犠牲にしたものの筆頭はロイヤルカスタマーだと言っていいと思います。

 

(2015年8月6日記)

 

 

サンタフェ通信8月7日号より一部抜粋しています。


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