教える責任、学ぶ責任 | 田村洋一 | サンタフェ通信

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教える責任、学ぶ責任

システム思考実践研究会のSTARクラブは、参加するメンバーの積極的意欲によって成り立っています。すなわち新しい理論や古典的体系を学び、自ら率先して実験・実践することによって何かをマスターしていく、システム思考に熟達していこうとする意欲です。

 

STARクラブはまた、参加メンバーの大いなる知的好奇心に頼ることも多く、ひとつテーマから様々な応用領域へと発展していくこともあります。

 

私はSTARクラブを主宰する立場ですが、私が何もかも教えるわけではありません。

 

私が知っていることを紹介し、解説することはあります。知っていることを出し惜しみすることは一切ありません。しかし、あくまでも、学ぶ責任は参加するメンバーにあるのです。

 

誰かが学ばなかったからといって私が教える責任を怠ったということには必ずしもなりません。

 

私の責任は学ぶ場を提供することです。そのために喋りもすれば聞きもします。しかし学ぶ責任は第一義的に研究会メンバーにあります。学ぶ者学ぶ責任を持たずにどうしようというのでしょうか。

 

これは研究会であるSTARクラブに固有の特徴などではなく、あらゆる教育や学習の場に言えることではないでしょうか。

 

20世紀の教育思想にも大いなる影響を与えたアメリカの哲学者ジョン・デューイがいみじくも喝破しています。

 

Since learning is something that the pupil has to do himself and for himself, the initiative lies with the learner. The teacher is a guide and director; he steers the boat but the energy that propels it must come from those who are learning.

 

学習とは学習者のすることであり、教育者はただ、ガイドするのみ。教師は船の舵をとることができる。しかし船を前進させるエネルギーは生徒から来なければならない。

 

Hence, the one taught must take the initiative.

 

Teaching and learning are correlative or corresponding processes, as much so as selling and buying. One might as well say he has sold when no one has bought, as to say that he has taught when no one has learned. And in the educational transaction, the initiative lies with the learner even more than in commerce it lies with the buyer. If an individual can learn to think only in the sense of learning to employ more economically and effectively powers he already possesses, even more truly one can teach others to think only in the sense of appealing to and fostering powers already active in them. Effective appeal of this kind is impossible unless the teacher has an insight into existing habits and tendencies, the natural resources with which he has to ally himself.

 

「学習者が学習していないのに教育者が教えたと言うなら、購買者が買っていないのに販売者が売ったと言うようなものだ」とデューイは言い「物の売買の場合以上に主導権は学習者にある」と明言しています。

 

教育者の役割は生徒が持っていない何かを提供することではなく、学習者が既に持っているパワーにアクセスし、それをガイドしてやることだけだと言うのです。

 

教師が学習のナビゲーター役を務めたとき、生徒は自らのイニシアティブで学ぶことができます。

 

STARクラブという船の舵は私がとっていますが、船を漕いで動かしているのは研究会のメンバーに他なりません。

 

学ぶ者の責任を教師がとることなど決してできない相談なのです。

 

サンタフェ通信10月9日号より一部抜粋しています。


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