フレンドリー・クリティーク | 田村洋一 | サンタフェ通信

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フレンドリー・クリティーク

 

批判には大別して三つのタイプがあります。敵対的な批判、客観的な批判、友好的な批判(フレンドリー・クリティーク)です。これらはそれぞれ違うものだと知っていると役に立ちます。

 

敵対的な批判は、相手の議論を敵視して破壊します。世間で批判と呼ばれるもののほとんどはこれですね。間違ったことを見つけて、間違いを明らかにしようとします。どれだけひどい間違いかを指摘して正そうとします。

 

批判を受ける人は、あたかも自分を批判されているかのように感じます。そして、実際に人格攻撃に等しい批判が行われることもあります。批判が真剣であればあるほど破壊的な結果になります。

 

ディベートとは人の揚げ足をとって重箱の隅をつつき、相手の鼻を明かして降参させるゲームだ、と誤解している人たちがいます。もちろん完全なる誤解ですが、競技ディベートは勝ち負けを争うゲームで、知らない人の目には敵対的雰囲気と映ることもあります。相撲だってラグビーだって同じですね。戦いの最中は戦いの緊張感に見舞われます。

 

さてディベートにおいて重要なのは客観的な批判です。人と議論を分離することが前提です。相手を批判するのではなく、相手の提示した議論を客観的に眺めて、事実と論理に基づいて批判します。

 

客観的な批判から生まれるのは、破壊ではなく、理解です。感情を切り離すことによって現実を冷静沈着にジャッジすることが可能になります。人格を切り離すことによって判断を合理的なものにすることが可能になります。

 

残念ながら、客観的な批判は、世間では非常に少ないのです。アカデミックな場においてすら感情的で敵対的批判がやりとりされているのを見るにつけ、もっとディベート思考が必要だと感じます。

 

そして、もうひとつの、一般社会でもっと活用されるべきタイプが、フレンドリークリティーク、友好的な批判です。

 

フレンドリークリティークでは、相手をパートナーと見なします。相手の目的を知り、相手と同じ側に立ち、目的のために議論内容をともに吟味し、より良い展開を創り出します。

 

批判のためには破壊的なエネルギーも有用です。悪いものや間違ったものを見逃さない冷徹さも必要です。

 

しかし人間は感情の動物ですから、論理と事実を盾に批判されるばかりでは身が持ちません。熱すぎる批判は創造性を妨げます。冷たすぎる批判は、聞いた人を意気消沈させます。

 

ビジョンを共有し、合理的判断に基づいた創造的展開を行うためには、フレンドリークリティーク、友好的な批判が必要なのです。

サンタフェ通信11月20日より一部抜粋しています。


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