日本は国力を落としてはいけない | 田村洋一 | サンタフェ通信

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日本は国力を落としてはいけない

 

 日本はもう十分に豊かなのだから、そんなにあくせく働かずにゆとりを持ったほうがいい。しゃかりきに経済力を高めるより文化力が高まる方向を目指したほうがいい。そんな意見を聞くことがときどきあります。

 

 この意見の背後にある精神には非常に共感します。

 

 とめどない経済成長のために生活環境を犠牲にし、正義を犠牲にし、社会的弱者に犠牲を強いることはよくありません。国家主導による経済成長の演出が、しばしば弱肉強食の荒んだ社会を指向しがちなことも確かだと思います。昨今のアベノミクスが大企業優遇、生活者冷遇であることは、消費税増税ひとつをとっても明らかでしょう。

 

 一方、国際社会における日本の地位の高まりは紛れもなく日本の経済力の成せる技です。戦前は軍事力によってアジアの解放と自由を実現しようとした日本が、戦後は平和的な経済発展によって自由と繁栄を実現しようとしてきたのです。

 

 闇雲に経済成長戦略に反対する人たちは「産湯と一緒に赤ん坊を流そうとしている」のではないでしょうか。

 

 私たちは、引き続き健全な経済発展を目指すべきです。日本の国力を落とすべきではありません。日本の文化の力がアジアや世界に影響を及ぼしているのも、背後に日本の経済力があったからに他なりません。

 

 パワーの問題を考えるとき、自分が関心の高い一部に注目するあまりに社会システム全体を見失うことがあってはなりません。軍事力、経済力、文化力の全て。ソフトパワー、ハードパワー、スマートパワー。

 

 経済を嗤う者は経済に泣く。

 

 お金のために命を削るのは愚行ですが、命を豊かにするのもまたお金の力です。物を作り、金を動かし、人を助ける経済成長は日本が捨ててはならない道だと思います。

 

サンタフェ通信11月22日号より一部抜粋しています。

 


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