ディベートが培う識別力 | システム思考 | 田村洋一

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ディベートが培う識別力

「教育ディベートは合理的意思決定を楽にし、論理的コミュニケーションを楽にする」

 

それは30年以上の自分の体験から、また学生時代に競技ディベートに打ち込んでいた人たちを観察することから生まれた気づきでした。

 

2012年にディベート道場を始めて、認識を新たにしています。それが学生時代の特殊な経験に留まるものではなく、社会人の学習プロセスにも共通する現象であることが明らかになってきているのです。これでもかというほどにその証拠が目の前に突きつけられています。

 

「日本は日米安全保障条約を破棄すべきか」などというお題を、たかだか1時間程度の議論で決着できるはずがない。それが世間常識です。しかし競技ディベートでは競技スポーツのようにたやすく当たり前にそれをやろうとします。

 

無理なことをやろうとするから大変なのです。しかし大変なトレーニングによって識別力、認識力、傾聴力、構造化の力、表現力などが培われます。その識別力が日常の仕事でいかんなく発揮されている、と証言する人がディベート道場の中から出てきています。

 

「ディベートに比べたら仕事の意思決定やコミュニケーションはずっと楽」と言うのです。そういう人はディベート体験者の中に少なくありません。それはそうだろうと思います。「仕事」の種類にもよりますが、ディベートのトレーニングでは大変なことを短時間でやるので、通常の業務の複雑さなど単純に構造化できてしまうのです。

 

私は20年ほど前、30代で経営戦略コンサルティングファームに入社しました。答えのない世界で地道な調査と分析を重ね、独自の解決策を立案し、検証し、提示して実現していく仕事です。過酷な知的労働として知られる戦略コンサルティングの業務は、ディベートのリサーチや分析と酷似していました。

 

ディベートで培われる識別力は、戦略コンサルティングに要する識別力と共通しています。

 

ディベートは議論をやりとりして対話していくコミュニケーションです。しかしコミュニケーションが始まる前のプロセスが大切なのです。現象を構造化してシンプルに理解する認識力、識別力こそが鍵なのです。

 

 

サンタフェ通信5月6日より一部抜粋しています。


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