エニアグラムは人間を分類するシステムではない | システム思考

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エニアグラムは人間を分類するシステムではない

エニアグラムというと世間では便利な性格分類ツールと思われていることが多いようです。診断テストを受けると自分のタイプがわかり、その性格タイプの記述によって自分の強みや弱みがわかり、仕事や人間関係で何に気をつけたらいいかわかる、というものです。

 

これは控えめに言ってもエニアグラムの過小評価に他なりません。

 

「エニアグラムは人間を分類して箱に入れるシステムではない」とラス・ハドソンは何度も繰り返し強調していました。

 

いくら詳細に性格タイプを知っても、それはそれだけでは全く生きた知識にならないし、本来のエニアグラムとは全く違うものです。それはエニアグラム体系を応用したセオリーを便宜的に適用したひとつのアプリケーションにすぎない。間違いではないかもしれないが、本来のエニアグラムのパワーとはかけはなれた矮小なアプリケーションです。

 

では本物のエニアグラムとは何なのでしょうか。

 

先週のアメリカの3連休で参加してきたワークショップで学んだことは、エニアグラムとは全体性に向かう螺旋だということです。

 

ちょっと説明しましょう。

 

エニアグラムには9つのタイプがありますが、この9つのタイプは人間を収納する箱ではなく、人間全ての中にある資質を示しているものです。どんな人の中にも全ての資質が存在します。それらの異なる資質、ときに相反する資質を、人が自らの人生経験を通じて統合し、完成させていくためのモデルがエニアグラムなのです。

 

例えば、私の中には穏やかさや平和をことさらに愛する資質があります。と同時に、不正義を許さない、不寛容な憤りの資質もあります。これらの資質はときに矛盾し、対立するものです。戦うべきか、戦わざるべきか。

 

また、ルールや約束を重んじ、秩序を大切にする資質があります。と同時に、ルールや約束にとらわれずに自由闊達に行動し、目標を達成したいという資質もあります。これらの資質はときに矛盾し、葛藤することがあります。秩序や規則を重んじるか、それとも自由や成果を重んじるか。

 

人格の統合は、このように一見して相矛盾するようなパラドックスを解決していくプロセスです。異なる資質は統合可能であり、両立するのです。

 

「あなたは平和を愛する人だからこのタイプ」
「あなたは正義を愛する人だからこのタイプ」
「あなたは真実を愛する人だからこのタイプ」
「あなたは秩序を愛する人だからこのタイプ」

 

...のように安直なわかりやすい分類をすることはエニアグラムの本質とはほど遠い使い方です。そうではなく、さまざまな異なる資質が異なる人間の中に異なるバランスで存在し、それを認識して発達させていくことにこそエニアグラムのエッセンスがあるのです。

 

エニアグラムは人間を収納する箱ではなく、私たちの中に存在するさまざまな資質を開花させ、より豊かで健全な人間生活へと誘う立体的な地図なのです。


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