負けっぷりよく負けること

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負けっぷりよく負けること

 

「途中で諦めるな。初志貫徹しろ」
「手を出したことは最後までやり通せ」
「成功するまでやめないことが成功の秘訣だ」

 

私たちは「やめないこと」「諦めないこと」が人生で大切なことだと幼い頃から叩き込まれています。

 

それはその通りです。続けることによってこそ達成されることがあります。

 

しかし、どんなに優れた美徳も、あまりに極端まで行くと悪徳になります。

 

優秀な経営者たちが赤字事業からなかなか撤退できず、ずるずる赤字を累積してしまうのはなぜでしょうか。

 

早く撤退しておけば傷が浅くて済んだのに、どうして目を覆わんばかりの惨状になるまで不毛な努力をやめられないのでしょうか。

 

「成功するまで続けるのだ」という決意、「これまで注ぎ込んだ投資を取り戻すまで」というコミットメントが裏目に出るのです。

 

やめる勇気が必要です。

 

負け試合から降りる勇気が必要です。

 

降りたら後ろ指をさされるのはわかっています。

 

しかし続けることがどんどん墓穴を掘り続けることになるなら、途中で投げ出したほうが百倍ましです。

 

やめられないのはサンクコスト(埋没原価)の誤謬なのです。

 

スーパーのレジで長い列に並んでいて、隣の列のほうがどんどん先に進んでいて、今からでも隣の列に変わったほうがいいのに、「ずっとこの列に並んでたから」と自分の始めたことに執着してしまう。これがサンクコストの誤謬です。

 

途中であっても、やめたほうがいいものはやめるべきなのです。
始めるべきでなかったものは、途中でもやめるべきなのです。

 

しかし、なかなかこれができない。

 

日本がアメリカとの戦争をなかなかやめられなかったように。

 

このままでは続ければ続けるほど悪い結果になるかもしれない、とわかっていてもやめられない。

 

昭和天皇が終戦を決意したとき、多くの優秀な軍人たちが終戦を受け入れられなかった。

 

アメリカはベトナム戦争が泥沼化して出口が見えなくなっても戦争をやめようとしなかった。やめられなかった。

 

やめる勇気。

 

途中でも引き返す勇気。

 

それは勇気というより、智慧かもしれません。

 

後ろ指をさされても平然として胸を張れる、ふてぶてしさかもしれません。

 

人情にほだされない非情さかもしれません。

 

意地を張ることのない、自己重要性の低さかもしれません。

 

「手を出したら最後までやれ」という世間の常識に抗う反骨心かもしれません。

 

何でもいい。

 

始めるべきでなかったものは、なるべく早く手仕舞うべきです。

 

負けを認めてさっさと損切りをすべきなのです。

 

勝たなくていい。負けてもいい。損失を何十倍にも何百倍にも膨らまして破産する前に、とっとと敗北したほうがいいのです。

 

そのためには負ける勇気、負ける強さ、負ける智慧が必要です。

 

Be a good loser. よく負けること。

 

負けっぷりの良さもまた美徳なのです。

 

 

 

 

サンタフェ通信12月20日号より一部抜粋しています。


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