システムがわかると人生が変わる
私が初めてシステム理論を学んだのは今から33年前にアカデミックディベートをやっていた頃のことです。昨年惜しまれながら他界したジェイ・フォレスターのシステム力学、アーバンダイナミクスの論文を読んだのが最初です。
問題が単純な場合は解決行動が問題を解決するのに対して、問題が複雑な場合は解決行動が問題を悪化させる。社会問題の多くが公共政策そのものによって悪化している・・・。
これは衝撃的な洞察でした。
その後アメリカの大学院に留学し、さまざまなシステム理論を学ぶことになりました。ピーター・センゲの「学習する組織」(The Fifth Discipline)やロバート・フリッツの構造力学(Structural Dynamics)に出会ったのもその頃で、今から25年前のことです。
そして私にとってシステム思考は、単なるアカデミックな理論ではなく、生きるための方法へと進化していきました。
経営戦略や情報システムを扱う仕事においてはもちろんのこと、日頃の人間関係や職業選択、家庭生活や社会活動においても、「いま自分はどんなシステムと対峙しているのか」「自分はシステムの中で何をしているのか」「自分が何をしたらシステムをよい方向に変えることができるのか」を観察し、考察し、実験し、決断していくことが、自分の中心的な行動原理となったのです。
Less is more. 少ないほうが豊か。努力を減らすことが、成果を高めることにつながることがあります。
そうしていくうちに仕事や人生がどんどん豊かに、自由に、そして創造的に変化していくのを身をもって体験しました。
昨年出版した「システムがわかると人生変わる - セレンディピティとシステム思考」は、なるべく専門用語を使わずに平易な言葉でシステム理論の洞察を伝えようとした本です。
今月はこの本のメソッドを中心にしながら、システム理論の実践的応用を少人数ワークショップで探究してみたいと思います。
興味のある人は今からでもどうぞ。
サンタフェ通信2月3日より