企業人教育の仕事とは何か
先日、渋谷で著名な評論家の先生とお会いして昼食をご一緒した際、仕事は何をしているかと聞かれ、
「企業人教育です」
と答えたら具体的にどういうことをしているのかと聞かれ、
「組織開発のコンサルティングや経営者のエグゼクティブコーチングです」
と答えたら具体的にどういうことをしているのかと聞かれ、
「例えば・・・」と手を替え品を替え説明したのですが、さんざん話した挙句に「最近のそういう仕事は私にはよくわからない」と言われてしまい、閉口したことがありました。
私の父親よりひと回り若い戌年(昭和21年)生まれ、国際政治や外交の現場に長くいた百戦錬磨の知識人で、非常に知的な人です。
そういえば82歳の父親も先日「息子がどんな仕事をしているのかよくわからない」と得意先の人に笑いながら話していました。
何がそんなに「わからない」のでしょうか。
いま大学生の次男が小学生の頃、「おとうさんはお客さんに教えてるの?」と聞かれて「そうだね、教えてるというよりは教わってるかな」と答えたら「それでお金もらってるの?」と聞かれて「そうだよ」と答えたら「ボッタクリじゃん」と言われたことを思い出します。
コーチやコンサルタントは会社の「先生」みたいなもの、までは話が通じるのです。授業をして授業料を受け取る、と。あるいは弁護士や医者のようなもの、相談に助言したり診断したりして報酬を受け取る、と。
それで、どんな助言をするんですか、と聞かれたときに、「経営の指南をする」と答えれば「具体的にどんな指南をするのか」という話になり、「助言するというより、問いかけて傾聴することによってクライアントが気づきを得て自発的に変化していくのです」などと答えようものなら相手の顔は「???」となり、「私らにはようわかりまへんな」となるのです。
日本きっての知識人ですらその有り様ですから、企業の人材育成現場を知らない一般の人にはもっと難しいでしょう。
コーチングが企業社会に普及したと思ってから10年以上経ちますが、一般には普及もしていないし、理解もされていません。
コーチングやプロセスコンサルテーションの時代はまだまだこれからです。組織開発や人材育成の仕事もまだまだこれからです。
わくわくしてきます。
まだまだこれからなのです。
サンタフェ通信6月2日より