Antifragile | システム思考 | 田村洋一

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最低限と最大限

次から次へと様々な仕事の依頼や研究活動が続き、非常に忙しい毎日に見えます。しかし気ぜわしくなることは全くありません。いつも心の余裕があります。疲労困憊することもありません。

 

20年前にはあまりの多忙さとストレスで燃え尽きていた時期があったことを思うと、今の「忙しさ」はほとんど理想的と言えます。

 

20年間と今とではいったい何が変わったのでしょうか。

 

ひとつは休息と勤労のバランスです。私は忙しい一日でもしょっちゅう頻繁に休息しています。根を詰めて働き続けることがありません。

 

そう言うと、「昼ご飯も食べないで朝から晩までインタビューやコンサルティングをしてる日もある」ということを指摘されます。確かにそうです。しかし、そういう日であっても合間に必ず短い休憩を挟み、呼吸と瞑想によって気を休めています。アレクサンダー教師のブルース・ファートマン先生に習ったコンストラクティブ・レスト(constructive rest)を実践しています。

 

呼吸が安定していて深く、意識が穏やかで落ち着いていると、活発な知的活動をしている間も疲労は少なく、頻繁な短い休息で充分に心身が回復し、健康が維持されます。

 

もうひとつ、最近15年くらい習慣的に実践していることがあります。それは最低限の仕事をし、最大限の成果を狙うことです。これは20年前の苦境を脱した経験から編み出したアプローチです。

 

大きな仕事や複雑な仕事に取り組む際、「自分が最低限すべきこと、やれることはなんだろうか」と考えます。プロの責任としてベストを尽くし、どんなにうまくいかなくても胸を張って堂々としていられるレベル、それが私の「最低限」です。まずは底を押さえます。

 

次に「自分が最大限の成果を上げたらどうなるだろうか」とアップサイドを考えます。これはオプションです。幸運に恵まれ、創意工夫が功を奏して最高の結果になるとしたらそれは何か。血湧き肉躍る仕事の成功です。

 

最低限と最大限を見定めたら、できるだけ早いうちに最低限のことを完了します。完了できなくても目星をつけておきます。そして仕事を離れます。

 

ナレッジワークの宿命で、仕事を離れても仕事のことを考え続けます。しかし最低限にケリをつけた後で考えることは全てアップサイド、最大限の成果に向かう夢想です。あとは上に行くしかないのです。嫌なストレスは皆無です。夢を見続けるのです。そして良い着想に恵まれたら実行に移します。あわよくば最大限の成果を目指すのです。

 

これが私の反脆弱戦略です。失敗しても最低限のレベルに留め、成功すれば最大限に接近する。

 

あとは休み休みやることです。決して働きすぎないように。人生は長期戦ですから。

 

サンタフェ通信10月27日より


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