本当に相手の力になるためには | プロセスコンサルテーション | 田村洋一 |

本当に相手の力になるためには | 田村洋一

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本当に相手の力になるためには

プロセスコンサルテーションに私が出会ったのは今から20年前のことです。当時私は事業のスタートアップに失敗し、一から出直し始めたところでした。社会人11年目の春です。縁あって経営戦略コンサルティングの仕事に就き、さまざまな企業経営のお手伝いをすることになりました。

 

企業経営者は自分たちのビジネスを熟知しています(もちろん稀に例外はありますが)。そして自分たちの知識や経験だけでは如何ともしがたい現実に直面し、経営戦略の支援を求めてきます。

 

従来のコンサルティング業務では、プロのコンサルタントが経営者を凌ぐ知識や技術でもって助言や予言を行い、「これからの市場はこうなる」「これからのビジネスはこうすべきだ」と水先案内を行うのが定石でした。

 

それは超人的な仕事であったと言っても言い過ぎではありません。ごく短期間に膨大な調査と分析を行い、創造的なアイデアを出し合うのです。

 

しかし、私が参加したコンサルティングファームには従来の方法以前にプロセスコンサルテーションというアプローチがありました。それはクライアント企業の知恵と力を引き出し、「クライアントが何を求めているのか」「クライアントが必要としていることは何か」「クライアントがすでに知っていることは何か」などが存分に共有され、協働作業が行えるための信頼関係構築が重視されていました。

 

その信頼関係がないと、どんなに優れた戦略提言も本来の価値を実現することができません。そしてその信頼関係があれば、クライアントが真に望む変革や改善をもたらせるチャンスが高まります。

 

私は経営戦略コンサルティングの仕事を通じてプロセスコンサルテーションを実地に学び、クライアントの力になるためには知識や技術ばかりでなく、プロセスを見る力・プロセスを動かす力が必要なのだということを知ったのです。

 

この考え方・やり方は、コンサルタントという専門職に限定されるノウハウではありません。

 

プロセスコンサルテーションを長年に渡って体系化したエドガー・シャイン教授は、近年この考え方を「ひとの力になる」(helping)ための方法として洗練・統合し、いくつもの書物で公開しています。

 

誰でも誰かの役に立とうという気持ちを持っています。しかし気持ちだけでは足りない。相手が力を借りようとする状態にならなければせっかくの手助けも役に立たない。役に立たないばかりか仇になることすらある。

 

プロセスコンサルテーションは、自分の知識・技術を本当にクライアントの役に立てるための体系的な考え方です。そして誰かの役に立ちたいと思ったときに幅広く応用できる方法です。

 

サンタフェ通信2月23日より

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