不確実な世界を確実に生きる | カネヴィンフレームワーク | 田村洋一

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不確実な世界を確実に生きる

私たちの世界は複雑なことや不確実なことにあふれています。この不確実な世界をどのように生きたらいいのでしょうか。

 

多くの人たちは、ある種の諦めをもって暮らしているようです。先のことはわからない、わからないことを考えてもしかたない、わかる範囲で生きていこう、という態度です。不確実なことを不可知なことと捉えて思考停止しているのです

 

また多くの人たちは、どんなに複雑なことがあってもできる限りの情報収集とデータ分析をして予測を行い、単純な予測に基づいて行動しているようです。昨今蔓延している「エビデンス信仰」もその一種です。エビデンスのあることを信じ、エビデンスのないことは信じない、という単純明快な傾向です。

 

どちらの態度をとるのも、場合によっては悪くありません。日常が平穏で予測可能な範囲で進行しているときは、さほど深く考えなくても大過ないでしょうし、また情報解析によって解明できるくらいの複雑さであれば分析やデータ主義も役に立ちます。

 

問題は事態がもっと複雑で不確実なときです。分析や予測が不可能または著しく困難で、簡単な経験則が当てはまらない新しい状況です。

 

複雑系における意思決定のモデルであるカネヴィンフレームワークは、このどちらでもない状況における、第三のスタンスを可能にしてくれます。

 

もし事態が自明であり、きちんと考えれば正しい答えがある状況ならば、ベストプラクティスを見つけて従うことです。社会のルールや組織の慣行に従うことで解決することは少なからずあります。

 

もし事態が煩雑であり、分析や専門家のガイダンスを要することであれば、しかるべき専門知と分析に頼るべきです。

 

もし事態が緊急を要する危機状態であれば、しのごの言う前に行動すべきです。できる人ができることをするのです。

 

思考停止でもなく分析過剰でもない、第三のスタンスは、「やってみなければわからない」複雑さ、霧の中を歩いていくような不確実な世界の歩き方を教えてくれるものです。

 

それは単なる危機管理ではなく、イノベーションを生み出す方法でもあります。たくさん試行錯誤して「失敗」から成功を見出すアプローチです。

 

昔から「失敗は成功のもと」と言われるのに、失敗すると失敗の烙印を押されてしまうことが多く、特に保守化した組織や社会の中では「失敗しないようにする」「失敗してもひた隠しにする」ということが横行しています。

 

カネヴィンフレームワークが教えてくれる知恵のひとつは、セーフ・フェイル(安全な失敗)というアプローチです。致命的にならない安全な失敗を許すことによって先の見えない世界をナビゲートし、イノベーションを可能にするのです。

 

 

サンタフェ通信4月6日より

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