カネヴィンフレームワーク | 田村洋一

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不確実な世界を愉快に遊ぶ

この5年くらいは複雑系のシステム理論であるカネヴィンフレームワークを活用する仕事が増えています。コンサルティングやコーチングはもちろんですが、トレーニングやファシリテーションにおいても同様です。

 

先日はあるグローバル企業の若い研究者二十数名を集めて複雑系のトレーニングを行っていました。日本語を解さない外国人社員を含んでいたことからトレーニングは全て英語。半数以上は日本人で、英語がさほど得意ではない人も混じっていましたが、誰もが活発に議論していました。

 

カネヴィンフレームワークは、目的と習熟度合いに応じていくつものレベルで活用できます。

 

一番簡単なのは、分類モデルとして使うことです。課題に遭遇したときに「これは煩雑系だからこうしよう」「これは複合系だからこうしよう」という会話を手っ取り早く行うことができ、迅速で効果的な意思決定を促進できます。そのための共通言語がカネヴィンフレームワークです。カネヴィンフレームワークは意思決定支援理論なのです。

 

二番目は、センスメイキング(意味生成)のモデルとして使うことです。現実状況をよく観察して複雑さを紐解いていきます。分類するよりもずっと時間がかかる一方で、時間をかけただけのリターンが必ずあります。

 

センスメイキングは特別なトレーニングとして行うばかりでなく、日常生活や仕事の中で暇さえあれば自分でやるといいのです。誰かとやれればもっといいし、チームでできたら最高です。組織における集合トレーニングには、そのための共通言語を獲得するというメリットがあります。

 

三番目は、カネヴィンモデルの中を自在に動き回ることです。複合系にいるのがわかったら、そこにい続けるばかりでなく、別の系に移行する。煩雑系にいたら混沌系に浅く足を突っ込みながら複合系に移行し、イノベーションを試みる。自明系が無為無策によって混沌系に陥らないようにする。これが習慣的にできるようになったらしめたもので、複雑系を使いこなすことが自然なスタイルになっていきます。

 

人生は複雑です。しかしある意味単純です。いろいろとめんどくさいことも多い一方、意味が紐解けると面白いのです。紐解けない複雑さは実験対象になり、新たな価値を生み出すラボラトリーになります。

 

不確実な世界を確実に生きることが可能になるばかりか、愉快な遊びにさえなるのです。

 

カネヴィン(cynefin)というウェールズ語が棲息地(habitat)を示すというのは、自分が生きている場所をよく知るということの大切さを示唆しているのだろうと思います。

 

不確実な世界を確実に生きる ― カネヴィンフレームワークへの招待
https://evolving.theshop.jp/items/10877466

 

サンタフェ通信4月20日より

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