一歩一歩、一行一行 | 田村洋一

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一歩一歩、一行一行

今回ロバート・フリッツの共著作Identity(「アイデンティティと創り出す思考」として2018年9月に翻訳出版予定)を監訳していて、骨身に沁みて感じたことがありました。「一行一行、一語一語ずつしか進めない。しかし進んでみて、振り返ってみると驚くほど進んでいる」ということです。

 

これはこうして言葉にしてみるとあまりにも当たり前で、わざわざ言うほどのことではないような気もしてきます。

 

山登りとも似ています。山を登るときは、一歩一歩登るしかありません。そして歩いた道を振り返ってみると意外なほど進んでいることがあります。どんなに体力があっても、山道を歩くには一歩一歩しかありません。一足飛びに山に登ることはできないのです。

 

翻訳出版の作業はまさに山登りのごとく、途中には険しい道もありました。しかし結果的には短期間に集中して作り上げ、9月のロバート・フリッツ夫妻来日のタイミングに間に合いそうです。

 

私たちが自分の事業を構築し、人生を構築するプロセスも同じです。一歩一歩、一行一行、歩を進めていくのです。ただしどの山に登るのか、何を創り出したいのか、は自分で決めなくてはなりません。

 

山道を歩いているときは、安全に確実に山に登って、安全に確実に山を降りてくることが大事です。その姿を誰に見せる必要もありません。かっこのいい歩き方やかっこの悪い歩き方を気にする暇はないのです。

 

ところが事業や人生を構築するプロセスにおいては、多くの人が人目を気にして余計なことをしてしまいます。あるいは他人の面子をつぶさないように気を配ったりしています。ひとが見ていないときでも「かっこ悪い歩き方」を嫌い、「かっこいい歩き方」を選んだりします。あるいは他の人がかっこ悪く見えないように気を遣ったりします。

 

そういうことをしていたらできることもできなくなってしまうのに。

 

今回翻訳出版する「アイデンティティと創り出す思考」は、まさにこのテーマについての本です。私たちは自分が何者かであるとか、自分の才能や理想であるとか、さまざまな余計なことを気にして、本来の創造性を殺してしまっているのです。

 

人生も事業も一歩一歩、一行一行進めていき、その積み重ねからときには偉業を成すことすらあります。それは世間に誇ったり褒められたりすることではなく、自分が創り出したい成果をただ創り出すプロセスです。評価ではなく、成果なのです。ひとがどう思うかではなく、自分が何を創り出したいかなのです。

 

サンタフェ通信8月3日より

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