テンションはギャップでない | 田村洋一

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テンションはギャップでない

ロバートの教える「創り出す思考」の目玉は緊張構造です。

 

緊張構造とは、行きたいところと今いるところの間に生じるテンションのことです。弓に矢をつがえて引き絞れば的と矢の間に緊張が生じる、この緊張がパワーとなって矢を的に飛ばす。ここで生じる構造的な緊張はパワーとなります。

 

この緊張、テンションをギャップと取り違える人が非常に多いのです。「ああ、ギャップ分析のことですね」と問題解決のフレームに置き換えてしまうのです。

 

テンションはギャップではありません。創造行為は問題解決ではありません。両者は水と油、月とスッポンほど違うものです。

 

「ギャップとは何か」と言ってロバートはマドンナやブリジッド・バルドーなどの顔写真を次々と見せ、「ほら、これがギャップだ」と彼女らの前歯の間の隙間を指し示します。ギャップとは、隙間、間が空いていて、何もないことを言います。

 

一方、テンションは、そこにパワーがあることを示しています。弓に矢をつがえたときに生じるパワーのことです。それはギャップではありません。何もないのではなく、パワーがそこにあるのです。

 

「ない」ことと「ある」ことの違い。この違いを知ってください。

 

緊張構造を理解していない人だけがそれをギャップ分析と取り違えます。ギャップ分析する人たちはせっかくの緊張構造を台無しにし、おなじみの問題解決に走ってしまいます。これが非常に残念なことです。

 

問題解決(problem solving)と創造(creating)は全く違います。

 

問題解決は(特にビジネスの文脈で言われる問題解決は)何かをなくすことを言います。一方、創造とは今ない何かを生み出すことを言います。やっていることが180度違います。子供を殺すのと子供を産むのとの違いほど違います。

 

これは単なる物の見方の違いではありません。言葉の綾でもありません。実際の中身が違うし、プロセスが違うし、心の向き方も違います。何から何まで違うのです。

 

私たちがリーダーとしてビジネスでやりたいのは、問題解決志向をやめ、創造志向へと移行することです。

 

何年も何十年も問題解決をやってきた人、トレーニングしてきた人、教わってきた人、教えてきた人は、「問題解決ではなく創造」と言われても、その違いに気づかなかったり、「まあ、それは言葉の綾で、高度な問題解決は結局のところ創造と同じだろう」などとごまかして、自分が投資してきた問題解決という宗教を捨てられずにいます。

 

馬を水辺まで連れて行っても水を飲ませることはできない。できることは水辺に連れていくことだけです。

 

問題解決をいくら極めても、解決手法をどんなに洗練させても、何かを創り出すことはできません。問題を一時的に消すことしかできないのです。

 

テンションはギャップではないのです。

 

サンタフェ通信10月5日より

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