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お金について考える

「お金」と聞いたら何を思い浮かべますか。

 

稼ぐ、使う、貯める、投資する、散財する、節約する、浪費する、相続する、寄付する・・・

 

便利なもの、ないと困るもの、ありすぎても困るかもしれない、お金がなくて困窮する、お金がありすぎて堕落する・・・

 

お金は「物」ではありません。信用のシステムです。ではその信用はどこから来たのでしょうか。

 

お金持ちがますますお金持ちになり、貧乏人がますます貧乏になる、それが資本主義社会だと言われています。経済格差は実際に広がっているのでしょうか。格差が広がり続けることはどんな影響を持つのでしょうか。格差は不公平なのでしょうか。不公平は不正義なのでしょうか。

 

世界的ベストセラーとなった『21世紀の資本』の著者として知られるトマ・ピケティは、格差是正の手段として累進課税の富裕税を世界的に導入することを提唱しています。ありあまる財産と収入を持つ富裕層から合法的に奪い、社会の平等を目指すべきだと思いますか。

 

現代日本に住む私たちは、それほど裕福でなくても、多くの発展途上国に住む大勢の人たちに比べたら途方もなく豊かです。私たちが一回の外食に使うお金で、貧しい国に住む人たちは一ヶ月暮らすことができます。これは不公平なのでしょうか。

 

効果的利他主義を提唱する哲学者ピーター・シンガーは、私たちが贅沢な外食に使うお金を節約して貧しい人たちに寄付すべきだと主張しています。今夜の食事を少し粗食にして、浮いたお金を見知らぬ子供たちに送るべきでしょうか。

 

私自身は会社勤めを辞めて独立した2002年から継続的に毎月定額のお金をネパールとスリランカの子供たちに送っています。十数年の間にある程度の金額になりました。これは倫理的に有意義なことなのでしょうか。それともただの自己満足なのでしょうか。寄付などせずに貯金して旅行に使うのと、どちらがいいのでしょうか。

 

私は企業の教育活動を支援する仕事を本業にしています。エグゼクティブコーチング、マネジメントトレーニング、経営改革、組織変革などの依頼に応えて多額の報酬を受け取っています。一方でSTARクラブやディベート道場をはじめとする社会人教育活動では低額の費用で一般の人が誰でも参加できる場を設けています。ときどき無料セミナーも開催しています。大学などの教育機関からの依頼では交通費程度の謝礼で仕事をすることもあります。謝礼の多寡に関わらず、常に自分のベストと思えることを提供します。同じ仕事をして桁の違う報酬を受け取ることは道徳的に問題ないのでしょうか。

 

考え出すときりがないほど多くの疑問が湧いてきます。しかし大切なのは考えて終わらせるのではなく、実際にお金を稼ぎ、お金を使い、自分のためや他人のため、社会のためや家族のために活かすことです。

 

どうやってお金を稼ぐのがいいのでしょうか。どのようにお金を使うのがいいのでしょうか。お金を儲けすぎるのは罪なのでしょうか。それともお金はいくらあっても腐らない、あったらあっただけいいものなのでしょうか。

 

20世紀の思想家アイン・ランドは、お金をクルマのようなものだと言います。行きたいところに連れていってくれる乗り物です。でもクルマを運転するのは自分です。運転の仕方を知り、行き先を知らなければいくらお金を持っていても意味がありません。

 

5月に来日するヤロン・ブルックは、アイン・ランドの哲学オブジェクティビズムに依拠しながら、彼の専門である金融をベースにしてお金の秘密を紐解いてくれます。お金について考え、対話し、ときには議論して、仕事や生活や、現在や将来のために自分が何をできるかを探求していきたいと思います。

 

サンタフェ通信4月19日より

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