ディベートとは自己主張のことではない | 田村洋一 | サンタフェ通信

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ディベートとは自己主張のことではない

 

 「日本人は遠慮深くて自己主張しない」なんていうのはウソです。ネットを見たってわかります。これでもかというほど自己主張のオンパレードです。

 

 日本人がしないのは論理的な反論です。感情的にならず冷静に建設的な反論ができるためには訓練と実践が必要です。

 

 多くの日本人は明快な反論を嫌います。「角が立つから」と言って、論点を明確に批判することを避けます。

 

 はっきり批判せずに「なんか、ちょっと」とか「違和感がある」とか「理解に苦しむ」などと言って曖昧にお茶を濁し、雰囲気で伝えようとします。ときには顔の表情だけで「不快感を表明」したりします。

 

 はっきりと物を言わないことが知恵であるという場合も確かにあります。能ある鷹は爪を隠す、とも言います。言わぬが花とも言います。

 

 でも困るのは、はっきり言わないために頭の中まで曖昧なままにしておくことです。

 

 さらに困るのは、ディベートが苦手なために論敵の主張に耳を傾ける習慣に欠けることです。

 

 きちんと反論をできるためには、意見を異にする相手の主張をきちんと聞き届けなければなりません。

 

 きちんと反論できるためには聞き取る能力を養う必要があるのです。

 

 反論力が必要なのです。

 

 反論力を備えた上で、あえて反論するかしないかは選択可能です。

 

 できないことは選択のうちに入らないのです。できないことと「やらない」こととでは雲泥の差なのです。

 

 ディベートを避けるのではなく、受け入れ、議論を無視したり黙殺したりしないで反論力を高めること。空気に流されずに現実をはっきりと見るための言語を獲得すること。下らない自己主張などよりもずっと大切な力です。

 

 真のディベートを知っている人は世の中に少ないのです。

 

 

サンタフェ通信7月11日号より一部抜粋しています。


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