「鷹に選択」はない
YouTubeで「鷹の選択」という動画が流行しています。無類の鷹好きの私としてはこういうでっち上げの作り話に「感動した」とか「心に響いた」などと言ってまわるのは、本当に勘弁してほしいと思います。
この話はフィクションです。ウソです。作り話です。
ああ、頼むからもうやめてください。
こういうでっち上げのデマに心を動かされる人が多いということ自体は驚きではありません。昔は「一杯のかけ蕎麦」などという、一世を風靡した作り話もありました。しかし、「こういうウソは有害だ」ということも知っておいてほしいと思います。
せめて事実を知ろうとする真摯な心を持ってほしい。
鷹がくちばしを折ったら再生しません。
人間が歯を折ったら再生せず、生えてこないのと同じ。
折っちゃいけないものを折ったらいけないのです。
人間は脆弱(fragile)です。鷹も脆弱です。
残念ながら、鷹には選択がありません。鷹は滅びるべくして滅びます。
しかし、人間には、鷹とは違って選択があるのです。
人間の事業は選択です。人間の事業は、作りよう次第で打たれ強い(antifragile)のです。
人間は事業をするのです。肉体は脆弱でも、精神は強靭たりうるのです。爪や嘴が折れても、羽や翼が折れても、再生できるものがあるのです。事業構築するオプションがあるのです。
さて、哀れな鷹のためにも、これ以上デマを回覧しないでください。
デマを流布されるのは悲しいのです。
サンタフェ通信7月18日号より一部抜粋しています。