事業家とサラリーマン | 田村洋一 | サンタフェ通信

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事業家とサラリーマン

 

 「事業家とサラリーマンでは染色体が違う。30年サラリーマンをやって会社に飼い慣らされた人が起業して成功する見込みはない。イヌにニャアと鳴けというようなものだ」と断言する人がいます。高名な評論家で、彼が知る成功した事業家たちは皆、若い頃に独立していたと言います。

 

 事業家に向いてる人は会社に使われる身分に我慢ができなくて独立していくものだ、独立もせずにサラリーマンを続けてきたということは事業家に向いていない何よりの証拠だ、と断定口調で本に書いてありました。

 

 さて、この主張には信憑性があるのでしょうか。

 

 彼が出会った事業家が仮に皆そうだったとしてもそれは限られた事例に過ぎません。なぜ限られた事例から類推して全てのサラリーマンについての断定が可能なのかを問わねばなりません。

 

 また、稀にとはいえ、定年退職してから大事業を興す人がいます(もちろん、そういう人は稀な例だからこそニュースになるのでしょうけれど)。

 

 データとロジックをきちんとチェックしないと、(先週のサンタフェ通信でも書いた)クリスマスの「七面鳥」の憂き目に遭ってしまいかねません。毎朝いつも朝9時に餌が出てきたからと言って、明日の朝9時に餌が出てくるとは限らないのです。

 

 30年間サラリーマンをやっていた人が独立起業をして失敗するリスクは確かに小さくないでしょう。しかし、それが3年間サラリーマンをやっていた人のリスクと比べて格段に大きなリスクかどうかは検証されていないポイントです。

 

 主張が自信満々に断定されているとき、私たちはそのデータとロジックを点検せねばなりません。強い断定に出くわした時は、断定を支える事実があるのかどうかチェックする必要があるのです。

 

サンタフェ通信11月14日号より一部抜粋しています。


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