地図を見て土地と取り違えないこと | 田村洋一 | サンタフェ通信

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地図を見て土地と取り違えないこと

 

システム思考を実践する研究会であるSTARクラブでは、そのときどきに応じてさまざまなモデルやフレームワークを導入し、現実を見るための道具にしています。

 

昨年はエニアグラムを使って人のパーソナリティを多元的に深く観察し、一昨年はカネヴィンフレームワークを使って組織や社会の複雑さを探求しました。

 

優れたモデルやフレームワークは、それによって、目から鱗が落ち、世界がよく見える体験を促します。

 

カネヴィンフレームワークによって組織課題を観ると、技術的に解決すべき課題と、試行錯誤や交渉によって探求すべき状況とが明確に別のものに見えてくることがあります。

 

また、エニアグラムによってパーソナリティを観ると、人間が驚くほど個性的で多様な存在であること、そしてダイナミックに変化していく可能性を持った存在であることが、具体的によくわかってきます。

 

これは優れた理論に共通する特徴です。

 

しかし注意が必要です。

 

モデルやフレームワークは、あくまでも地図を提供するものでしかありません。現実そのものではないのです。

 

ある人がパーソナリティの一タイプ(例えばエニアタイプ3)と観察されたからと言って、それがその人物そのものではありません。タイプというのは、あくまでもパーソナリティの特徴に名前をつけたものでしかなく、それ以上ではありません。

 

ある組織状況をある種の複雑さ(例えば煩雑系)と見做したからと言って、それが状況の全てを物語るわけではありません。ただひとつの特徴を取り上げ、現実を扱いやすくしたに過ぎません。

 

地図がどんなによくできていてもそれは単なる地図に過ぎず、現実の土地そのものではないのです。

 

このことはモデルやフレームワークが優れていれば優れているほど留意する必要があるでしょう。

 

ましてやモデルが単純すぎる理論の場合は論外です。

 

モデルを捨て、現実そのものを観よう。

 

レッテルを剥がして、人間そのものを観よう。

 

地図を土地と取り違えてはいけないのです。

 

サンタフェ通信3月20日号より一部抜粋しています。


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